オーバーホールのススメ

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安全ダイビングをするために


イメージ写真 ダイビングをされていてご自分のダイビング器材をお持ちの方ならご存知だと思いますが、スキューバダイビングというのは器械本位のレジャースポーツです。
そのため、器材に万が一があってはいけないので定期的に修理、点検をする必要があります。
これを、オーバーホールといいます。
── 通常、年1回もしくは潜水回数が100本を超えた場合を目安にしてます。 ──
たとえば、自動車の場合法律で大2年に一度は車検を受ける義務があります。ダイビング器材の場合はそういった法律はないのでなかなか定期的にオーバーホールをされない方が多いようです。

ダイビング事故のうち約5%が器材の不備もしくは取り扱い不注意によるトラブルです。(DAN JAPAN「平成24年潜水事故の分析」より)
器材が原因で事故に遭遇する可能性を0%とはいかなくても限りなく0(ゼロ)に近づけるためにも器材のメンテナンスが重要になります。

昔のダイバーは肉体派ダイバーが多く器材に関して無頓着な人が多かった。
しかしながら、現在は器材のめまぐるしい発展のおかげで体力依存型から器材依存型のダイビングへと移行してきました。
ところが、器材依存型になったにも拘らず未だ器材に対する無頓着さは相変わらず、といったカンジです。

あなたの生命は、せいぜいオーバーホール料金年間1万数千円をケチるだけの命ですか?

私自身、以前メンテナンス会社に勤めていましたが、器材をオーバーホールするために分解した際、エゲつない代物に出くわすことが少なくありませんでした。
セカンドステージ内部にクモの巣が張っていたり、金属部には一面緑青というカビだらけだったり、ファーストステージのタンクバルブの取付部のフィルターが真っ黒だったり。
よくもまぁ、こんなレギュレーター使ってられるなぁ、と呆れたものです。

オーバーホールの頻度について


多くのダイビング器材メーカーは、年1回、もしくは100本のダイブ本数を目途にオーバーホールすることを推奨しています。
しかしながら、これはあくまで目安でしかありません。

ある文献には、
「レギュレーターは16ないし20回の潜水ごとに再検査することを勧める」
「レギュレーターのファースト・ステージに海水が2〜3滴入っただけで4〜5回の潜水以後にレギュレーターが故障してしまう。」
(「ダイバーとパニック」A.J.バックラック+G.H.エグストロム共著より)

これは極端すぎるかと思いますが、それぐらい手入れをしておくことにこしたことはないと思います。
オーバーホール代をケチって事故を起こすことのないように。

こんな場合は必ず、点検を受けたほうがいいです。


ダストキャップを締め忘れて水槽につけてしまった。

ファーストステージ内に水が浸入するとバルブが濡れて減圧調整ができなくなりフリーフローしたり、HPホース浸水してゲージが稼動しなくなります。

地面に勢いよく落としてしまった。

金属が歪んだりしてタンクにセットできない、ケースが割れて浸水する等の不具合が出てる可能性があります。

数年間使わずに放置していた。

低圧シートや不ダイヤフラムなどゴム製品が経年劣化しているためフリーフローする可能性があります。

エア洩れがしている。

塩噛みやバルブの破損などが考えられます。

エアが渋くなった、もしくはエアが軽くなった。

塩噛みやテンション不足が考えられます。

水中で呼吸中に時々水が入ってきた。

ダイヤフラムやマウスピースの破損が考えられます。

フィルターが真っ黒

汚染空気(油分)の侵入により汚染空気中毒に罹患する恐れがあります

どこまでオーバーホールするべきか

問題:オーバーホールはどこまですればいいのか?
1.レギュレーターのみ
2.レギュレーター+オクトパス
3.レギュレーター+オクトパス+ゲージ
4.レギュレーター+オクトパス+ゲージ+BCD(インフレーター)
正解は、4です。
レギュレーターはもちろんのことオクトパス、ゲージのレギュレーターセットとBCDの全てをしておいたほうがいいです。
特に、インフレーターは構造上どんなにキレイに水洗いしても塩が残りやすく誤作動が最も起こりやすいのです。
── インレットボタンが塩噛みで稼動したままになり急浮上する羽目になってるのを多々見かけます。 ──
ショップやオーバーホール専門会社ではたいがい単体でオーバーホールするよりも割安のセット価格を設定してますので是非それを活用してください。

オーバーホールに出すには

MKX/D350の分解写真いざオーバーホールを出そうにもどこに出せばいいのか?
基本、メーカーはエンドユーザと直接やりとりしてくれません。
必ず、取扱っているショップを通して出すよう指示されます。
通常、器材を購入したショップに持っていてそこから出すのが一番なのですが、最近ネットオークションや海外で購入された方も多くアフターケアを頼めるトコがない、ということをよく聞きます。
お店によってはそれぞれ取り扱うメーカーが違うため必ずしもダイビングショップに持っていって対応してくれるかわかりません。
ですので、オーバーホールを出す方法をいくつか紹介します。

  • 購入したショップに出す。
  • メーカーのサイトにある取扱ショップ・リストがあるのでそこで調べて最寄のショップに持っていく。
  • オーバーホール専門会社に出す。

器材にはいろんなメーカーがあります。
同じメーカーで統一されていることもありますが、ほとんどの方はまちまちの筈。
たとえばレギュがA社でオクトがB社、ゲージがC社、BCDはD社だったり、と。
そういった場合、ショップではそれぞれのメーカーに送り分けたりして手間や納期が延びることが多いのです。
その点、オーバーホール専門会社の場合、各メーカーよりメンテナンス技術認定を受けているため、他メーカー同士のレギュセットでもいっしょにオーバーホールができるメリットがあります。